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1923 Gibson L-5

Loyd LoarはGibson社の楽器の近代化に貢献した人物で、ルシアではないがアイデアをたくさん持った製品プロデューサだ。彼の業績の最も有名なものとしてGibson F-5マンドリンがある。バイオリンの構造をマンドリンにアダプトし、カーブドトップ+F穴というレギュレーションを開発した。今日ではLoyd Loar在籍中の1922年から1924年のLoar署名入りF-5モデルは日本円で数千万という高値で取引されている。

当時は、マンドリン音楽が流行し、マンドラ、マンドセロというマンドリン族の楽器もF-5と同じ構造で設計開発され、それぞれH-5、K-5というモデル名が付けられた。特にマンドセロのK-5はギター型のボディを持っており、それを元にして開発されたのが有名な16インチサイズのL-5だ。

L-5は1922年から作られたかもしれないが、現存確認されている最古のものは1923年6月6日製造のシリアル#73718の個体だ。まだ、試作段階にあったのかもしれないが、ペグヘッドの形状や塗装等が後の16インチL-5と異なる。そして、Virzi Tone Adapterという妙な内部音響構造物がLoyd Loar設計の特徴であるが、この楽器にはついていない。

いずれにせよ、歴史的な一台である。(Mandolin Archiveより写真を転載)